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スタッフ紹介|天野雅裕

今までも、これからもミシン一筋

星野ミシン商会は、創業1921年の3代続くミシンの販売・修理の会社です。家庭用ミシン、職業用ミシン、工業用ミシン、産業用特殊ミシンを取り扱っています。私は3代目で、自分で言うのもなんですが、生粋のミシン技能士です。

物心ついた時から、遊び場は父親の仕事場でした。ドライバーやスパナは、おもちゃの代わりで、機械をいじることが大好きでした。
おもちゃの車で遊んでいても、裏返してはペダルを回し、車輪の構造をみていたそうです。

その後、工業高校へ入り、卒業後はミシン訓練校に通いました。
夜間校でしたので、夜は学校で電気や繊維など専門知識を学び、昼間は父のもとで現場の仕事をしていました。

星野ミシン商会は3代に渡り、お客さまの「困った」を修理や販売を通し、解決してきました。それがお客様の評価につながり、実績になり、星野ミシン商会というブランドになっていくと思っています。

修理を諦めたら困るのはお客様

業務用ミシンは毎日、縫製のラインとして、稼働しています。縫製屋さんにとって、ミシンが止まってしまうことは致命的です。
「明日までに縫い上げて納品しないといけない」という状況の中で生産を行なっていることも多々あります。ご連絡いただいたのにも関わらず「直せません」では、お客さまは途方に暮れてしまうのです。

ですから、私は「絶対にその場で直す」という気持ちで挑みます。
ミシン屋、そして技術者としての意地のようなものです。

お客様には絶対投げ出せない仕事があります。だから私も、どんな状況でも諦めず投げ出さないと心に誓っています。

ミシンはサーキットを走るスポーツカーのよう

ミシンは細かいセッティングの違いで、縫製の調子がまったく変わってきます。糸と素材の組み合わせによって、無限に調子が変わってくるのです。

革製品であれば、1枚1枚違います。
同じ革でも生き物ですから、1枚1枚「癖」があり、縫う人は苦労します。布や糸も、新しい製品が次々に出てきます。常に未知の組み合わせ。ですから、ひとつひとつセッティングをして、お客様と一緒に確認しながら、最高の状態に近づけていく作業をさせてただいています。

例えばアパレル用の本縫いミシンであれば最高回転数は通常4000回転ですが、その下糸が入る回転釜は上軸の二倍の回転数8000回転で回ります。
サーキットを走るスポーツカーのように、状況や環境に応じて、常に最高のパフォーマンスが出るよう、セッティングをする必要があるのです。

ネジ締め1つとっても熟練の技

まずは、ネジを緩めるところからミシンの調整は始まります。ところがミシンが組み立てられてから一度も緩められたことがなく、ガッチリ食いついたネジから、日頃お客様が緩めたり締めたりして、頭が減ってしまいドライバーが滑ってしまうネジまで、様々です。それなのでドライバーも形が違うものを何本も使い分けないと修理出来ないのです。

あまり大きな声では言えませんが、ネジを折ってしまったことも部品を破損させてしまったこともあります。痛い経験をいくつも積み重ねて現場力を磨いてきました。

実は、ミシンのネジというは非常に締め加減が難しいのです。
ネジ自体がミシンネジといって、ホームセンターで見かけるネジとはまず規格が違い特殊です。太さやネジ山、材質も違います。止めねじ、締めネジ、抱きネジとねじ締めの場所によっても違います。

さらに、古いミシンなどのネジは、ドライバーからの手への反応で、締め加減を判断します。熟練の経験が必要で、機械ではこの作業はできません。
破損させるのが怖くて、ネジを緩めに締めれば、またすぐ緩くなり故障の原因になります。逆に加減がわからず、強く締めすぎると、その場で壊れてしまいます。
ミシンがいちばん長持ちする、適切な力加減でネジを絞めるのは熟練の技術や経験がなければできないのです。
リスクをとってでも、いちばん長く、そして安心して使っていただけるよう、努力は惜しみません。

ミシンによる縫い目はなくならない

世の中には、縫い目が必要な物がたくさんあります。身近なものでは衣服や靴、バッグなど身につけるものから、カーテンやソファーなどの家具など。自動車ひとつあげても、シートやシートベルト、エアバックなど、たくさんの縫い目で成り立っています。
社会を支える製品には、ミシンによる縫製は必要不可欠です。今後の未来を考えても、「なくなる」ということは考えづらいのではないでしょうか。

しかし、私たちのようなミシンの技術者、正式には縫製機械整備技能士といいます(以降、技能士と呼びます)が、後継者が少なく、どんどん減っているのが現状です。
某大手のミシンメーカーでも、そこに所属する私のようなミシン技能士のスタッフは、関東に数名しかいないのです。それほどまでに、技能士が不足しています。今後、技能士がもっと少なくなってしまったら、最終的に困ってしまうのはお客様なのです。
故障したミシンを直せる人間がいなくなってしまったら、製品が作れません。壊れないミシンはないのです。

私は、もっと技能士の社会的地位が向上し活躍することにより、技能士自身とそのご家族が幸せになり、そしてそれがお客さまの幸せにつがなっていくことを願っています。そのためにも技能士の育成が、今後のミシン業界の大きな課題です。

STAFFスタッフ紹介

REPAIR EXAMPLEミシン修理事例

           

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